アメリカ人夫婦の新しいライフスタイル

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アメリカ人の夫婦仲のよさは世界中に知れわたっている。可能な限り行動をともにし、寝るときも一緒だ。マスターベッドルームとそこに置かれた大きなダブルベッドは、アメリカの最もアメリカらしいライフスタイルとして、日本を含め世界中の進歩的な男女の模範となってきた。

ところが、最近のアメリカ人夫婦の中に、ベッドを、場合によっては寝室を分けようとする傾向が出てきているらしい。“To Have, Hold and Cherish, Until Bedtime : By Tracie Rozhon - NYTimes”

建築家たちの証言によれば、最近マスタールームを二つに仕切ったり、新たにマスタールームを付け加える注文が増加している。注文主たちはあからさまには言わないが、夫婦が別々に寝られるようにとの意図から発せられたものだ。家を新築する際に、始めからマスターベッドルームを二つ作る傾向も強まっているらしい。

全米建築家協会は、こうした傾向が続けば、2015年までに、普通の住宅の60パーセントは、メインベッドルームを二つ持つようになるだろうと予測する。

理由は様々だろうが、アメリカ人夫婦の意識や相互関係が変化し、それが住宅の様式にも変化を促しているのだろう。日本では、夫婦が寝室を異にするのは、家庭内別居としてとかく陰湿に見られがちだが、アメリカ人にはそういう陰湿さはないようだ。また、ベッドを別にすることが、セックスレスを意味するのでもないらしい。だが、従来の価値基準に反する現象には違いないので、これを「一人で寝たい症候群」と呼んで問題にするむきもある。

一人で寝たいと思うようになるのは、大部分は女性のほうが先だ。夫のいびきや寝相の悪さで、ろくろく寝ていられない。そこで長い間我慢していた母親は、独立していなくなった子どもの部屋に避難場所を求める。すると、これが快適な眠りをもたらしてくれるのである。

夫のほうでも、深夜までパソコンをいじったり、メールを確認したりすることが多くなり、妻の眠りをさますことを気の毒に思うになった。妻としても、夜中の1時、2時に夫が同じベッドに潜り込んできて、挙句にセックスまで迫られたのでは、たまったものではないだろう。

いまのところ、こうした現象は高齢の夫婦の間で進行している。もう一度念を押したいのは、この現象は夫婦仲の悪くなったことをあらわしてはいないということだ。彼らは、快適な睡眠のためにベッドを異にする代わりに、ベッドタイムまでは濃密な愛を交し合う。今までより、夫婦のスキンシップが強くなったという夫婦もいるくらいだ。

だから無論、別の部屋、別のベッドはセックスレスを意味しない。別の部屋で寝ることは、かえって性的な感情を高める場合もある。だから、彼らと彼女らの間では最近、寝る前のひと時に次のような合言葉が交わされているという。

今夜は、どちらの部屋でする?


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