地球のような惑星がどのようにして作られるか、その誕生のメカニズムについてはわからぬことが多かった。このたび、アメリカの天体学者マクロー氏 Mordecai-Marc MacLow のグループが惑星の形成過程について一つのモデルを提出した。なかなか興味深いので紹介したい。
生まれたばかりの星の周囲には、おびただしい塵やガスが円盤状をなして回転している。そのうち塵が結合して岩の塊が生まれ、さらにそれらの岩同士が結合しておおきな塊となり、やがて惑星状のものへ進化するのだろうと推論するのが自然である。岩同士を結合させるのは、それぞれの重力が互いを引き寄せるからだ。
だがことはそう簡単ではないらしい。親の星のもつ引力が、惑星の形成をそう簡単には許さないらしいのだ。
円盤の中では、ガス状の物質が運動する過程で風を引き起こし、常に旋風が吹き荒れている。岩状の物質は一定程度の大きさになると、この旋風の抵抗にあって運動が鈍くなる。そうなるとその岩は星の重力に引き寄せられて、親の星と結合する可能性が高いのである。
こうした岩塊が風の圧力と星の重力に逆らい、自立した天体となる過程には、どのような条件が作用しているのだろうか。
氏らは、高速道路を並んで走行しているトラックの群れにヒントを得た。先頭のトラックは強い風の抵抗にあうが、風はトラックの回りを吹きぬけると、トラックの背後にエアポケットを作り出す。続いて走るトラックはこのエアポケットのおかげを受けて、それほど風の抵抗を感じず快適に走行することができる。これと同じことが円盤のなかでも起きるのではないか。氏らはそう考えたのである。
円盤のなかでは、おびただしい数の岩塊が生じては消えている(星の重力に吸い取られる)と考えられるが、何らかの条件で、これら岩塊同士が互いに作用しあい、星の重力に十分抵抗できるようになったとき、惑星として自立できるようになるのではないか。
氏らは、さまざななシミュレーションを行って、円盤状内の岩塊の重力と親星の重力との関係を研究しているが、今のところ決定的といえるような説明は見出せていない。上記の仮説は、考えられる一つのケースをわかりやすいモデルとして説明したものである。
太陽系以外の宇宙空間で発見された惑星は、まだそう多くはない。せいぜい200程度だ。これから多くの惑星が発見されるにしたがって、惑星を巡るなぞも次第に解明されていくだろう。
関連リンク: 日々雑感
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