陶淵明「飲酒二十首」から其一「衰榮無定在」を読む
飮酒其一
衰榮無定在 衰榮 定在無く
彼此更共之 彼此 更も之を共にす
邵生瓜田中 邵生 瓜田の中
寧似東陵時 寧ぞ東陵の時に似んや
寒暑有代謝 寒暑 代謝有り
人道毎如茲 人道も毎に茲の如し
達人解其會 達人 其の會を解し
逝將不復疑 逝將(ゆくゆく)復た疑はざらんとす
忽與一樽酒 忽ち一樽の酒と
日夕歡相持 日夕 歡びて相ひ持せん
栄枯盛衰は定まりなく、浮いたり沈んだりするものだ、かの邵生は今は瓜田で働いているが、これが秦の時代に東陵公だったと誰が思うだろうか、寒暑には代謝があるように、人にも浮き沈みがあるのだ
達人はこの理を悟って、疑うことがない、だから一樽の酒とともに、日夕気ままに過ごすのがよいのだ
飲酒二十首は人生のはかなさ、人の命運の移ろいやすさを説くことから始まる。栄耀を極めた邵生のようなものでも、世が移ると零落して、自ら瓜を作って飢えを凌がねばならなかった。だから、こせこせとすることをやめ、今を楽しもうではないか。一樽の酒は、その楽しみを分かち合うには最良の友だ。さあ、杯を傾けよう。
この詩からは、陶淵明のそのような気持ちが伝わってくる。
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