ニンニクが健康によいことは古くから知られている。あの古代ギリシャ人も、オリンピックの競技に先立ち、たらふくニンニクを食っていたということだ。ところが、ニンニクの何が健康によいのか、これまであまり明らかではなかった。
最近の研究は、ニンニク中に含まれる硫化水素が鍵となっていることを突き止めつつある。なんと腐った卵の匂いの成分である。この物質は過剰に摂取すると有毒な作用を及ぼすが、もともと人間の身体の中では、自然に形成されているのだという。一種の抗酸化物質として機能し、また細胞のシグナルを伝達して血圧を低下させたり、血流を促進する作用があることがわかってきた。
アルベルト・アインシュタイン大学の研究グループは、心臓発作に陥ったネズミに硫化水素を投与したところ、心筋梗塞の度合いを軽減することができたと報告している。血流の促進を裏付けるデータだ。
硫化水素には「血液サラサラ」につながる不思議な効果があるらしいのだ。(ただし、コレステロール値を低下させる働きはない。)
最近のアラバマ大学の研究では、市販のニンニクをすりおろして液状にし、それを赤血球に加えたところ、赤血球の細胞から硫化水素が分泌されてきた。これが上述したようなメカニズムを通して、人間の健康に好ましい役割を果たすのだろう。
アラバマ大学の研究グループはまた、ニンニクは様々ながん(乳がん、前立腺がん、直腸がん)の予防にも効果があるとしている。どうやらニンニクは現代人の宿病たる成人病の予防にとって、切り札になりうるようなのだ。
このようによいことずくめのニンニクであるが、健康にとって目に見えた効果を期待するには、毎日5粒程度食い続けることが必要だそうだ。食い方にもこつがある。切ったりおろしたりしたニンニクをすぐ調理するのではなく、15分ほど空気にさらしておくのが望ましい。そうすることで酵素が活性化し、硫化水素の形成が促進されるのだそうだ。
日本人で、毎日5粒ずつニンニクを食い続けている人は少ないのではないか。ニンニクの効用の大きさを考えれば残念なことだ。人によっては、ニンニクを食いすぎると吐息や汗がニンニク臭くなると心配しているようだが、そのような人はウイキョウの種を一緒に食うとよい。ニンニクの匂いが相殺されるからだ。
最近ではニンニクのサプリが売られているが、それが生のニンニクと同様の効果を有するか否かは実証されていない。
筆者は幸いなことに、ニンニクが大好物である。かつおの刺身やラーメンを食う時には必ずおろしニンニクを入れるし、また縄のれんで一杯やる時には、ニンニクの丸焼きを注文する。これに味噌をつけて食うと、格別にうまいのだ。
ところが世の中はうまく運ばないもので、筆者の家内はニンニクが大の嫌いと来ている。したがって家内の作る料理にニンニクを期待するわけにはいかない。そこで筆者はニンニクのたまり漬けを買ってきて、晩酌の肴にしているわけなのだ。いつぞやは、自分自身で作ってみたが、うまくいかなかった。作り方をよくご存知の人がいたら、是非教えていただきたい。
関連リンク: 日々雑感
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