淒厲歳云暮:陶淵明詠貧士其二

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陶淵明の詩「貧士を詠ず」其二「淒厲歳云暮」を読む。


詠貧士其二

  淒厲歳云暮  淒厲として歳云に暮れ
  擁褐曝前軒  褐を擁して前軒に曝す
  南圃無遺秀  南圃 遺秀無く
  枯條盈北園  枯條 北園に盈つ
  傾壺絶餘粒  壺を傾くるも餘粒絶え
  闚竈不見煙  竈をうかがふも煙を見ず
  詩書塞座外  詩書 座外を塞ぎ
  日昃不遑研  日かたむくも研するに遑あらず
  閑居非陳阨  閑居は陳阨に非ざるも
  竊有慍見言  竊かに慍りの言に見はるる有るあらん
  何以慰吾懷  何を以て吾が懷を慰めん
  頼古多此賢  頼(さいはひ)古より此の賢多し

寒々とした中で年が暮れ、ぼろを着て軒先で日向ぼっこをする、南の田んぼには稲の穂は既になく、北の庭には枯れた枝ばかりがある

壺を傾けても酒は一滴もなく、竈をみてもそこには煙が立っていない、それでも詩書は部屋中を埋め、一日中研究してあきることがない

閑居は災難というものではないが、余りに不如意だとつい愚痴もでるものだ、我が思いを慰めるにはどうすればよいか、幸い古より同学の士が多いものだ、彼らを見習って自らをなぐさめよう


貧乏に暮らす中にも詩書を読む楽しみのあることを歌う。ときに愚痴が出ないわけではないが、先人たちもやはり貧しい中で学問したことを思い、自分自身を励ましている陶淵明の姿が浮かぶ。

陳阨は孔子の一行が陳の国で災難にあった故事。論語衛霊公篇には、次のようにある。

「陳に在りて糧絶え。從者病んで。能く興る莫し。子路慍って見えて曰く。君子も亦窮すること有るかと。子曰く。君子固より窮す。小人窮すれば斯れ濫る。」


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