盲者たち Les Aveugles :ボードレール

| コメント(1) | トラックバック(0)

ボードレール詩集「悪の華」 Les Fleurs du Mal から「盲者たち」 Les Aveuglesを読む。(壺齋散人訳)


盲者たち

  我が魂よ 彼らを見よ あの恐ろしい姿を!
  マネキンのようでもあり 滑稽にも見える
  夢遊病者のような奇妙な仕草で
  あらぬ方角へ曇った目玉を向けている

  彼らの目からは神々しい火花が飛び散り
  はるか遠くを見るように天空を凝視する
  彼らは決して地上の敷石のほうへは
  重い頭をうっとりと垂れることがない

  永遠の沈黙の兄弟である無限の闇を
  彼らはとぼとぼと歩いていく おお街よ!
  その傍らでお前は歌い、笑い、泣き騒ぐのか

  快感にとらわれて残忍になった私は
  彼らよりもうつろな目で歩きながらつぶやいた
  一体天空に何を探しているのだ この盲者たちは

「盲者たち」と題するこの詩を、ボードレールはブリューゲルの絵「盲人の寓話」に触発されて書いたとされる。ブリューゲルの盲人たちは、田園の中の道を、互いに頼りあいながら歩いている。先頭を行くものは他人の足元につまずいてよろけながら画面のこちら側を見ているが、ほかのものたちはみな一様に、縄を頼りにその後に続きながら、天空のほうへと見えない目を向けている。

ブリューゲルはこれを、盲人が盲人を導くことの危うさを表わすものとして描いたのだった。ボードレールはそれに、自分なりの解釈を加えて、この詩を書いた。盲人たちはやはり空のほうを見上げているが、彼らの周りには田園ではなく、街が広がっている。街は盲人たちには無頓着に、歌い、笑い、泣き騒いでいるのである。

この奇妙なコントラストを持ち出すことによって、ボードレールは何を言いたかったのだろうか。


Les Aveugles - Charles Baudelaire

  Contemple-les, mon âme; ils sont vraiment affreux!
  Pareils aux mannequins; vaguement ridicules;
  Terribles, singuliers comme les somnambules;
  Dardant on ne sait où leurs globes ténébreux.

  Leurs yeux, d'où la divine étincelle est partie,
  Comme s'ils regardaient au loin, restent levés
  Au ciel; on ne les voit jamais vers les pavés
  Pencher rêveusement leur tête appesantie.

  Ils traversent ainsi le noir illimité,
  Ce frère du silence éternel. Ô cité!
  Pendant qu'autour de nous tu chantes, ris et beugles,

  Eprise du plaisir jusqu'à l'atrocité,
  Vois! je me traîne aussi! mais, plus qu'eux hébété,
  Je dis: Que cherchent-ils au Ciel, tous ces aveugles?


関連リンク: 詩人の魂ボードレール >>悪の華

  • ポール・ヴェルレーヌ:生涯と作品

  • アルチュール・ランボー:生涯と作品

  • フランソア・ヴィヨン:生涯と作品

  • エディット・ピアフのシャンソン
  • ボードレール Charles Baudelaire





  • ≪ 赤毛の女乞食に À une Mendiante rousse:ボードレール | ボードレール | 通りすがりの女へ À une passante :ボードレール ≫

    トラックバック(0)

    トラックバックURL: http://blog.hix05.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/629

    コメント(1)

    Hoeveel kan ik lenen? (hypotheek). Wat worden mijn maandlasten? (hypotheek) ... Hoeveel hypotheek heb ik nodig? Hoe hoog is de boete die ik nu zou moeten

    コメントする



    アーカイブ

    Powered by Movable Type 4.24-ja

    本日
    昨日

    最近のコメント

    この記事について

    このページは、が2008年2月28日 20:19に書いたブログ記事です。

    ひとつ前のブログ記事は「赤毛の女乞食に À une Mendiante rousse:ボードレール」です。

    次のブログ記事は「ピュロンと懐疑主義の哲学」です。

    最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。