盛衰各々時あり;人生は金石にあらず(古詩十九首其十一)

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古詩十九首から其十一「盛衰各々時あり」を読む。

  回車駕言邁  車を回らせて駕して言に邁き
  悠悠涉長道  悠悠として長道を涉る
  四顧何茫茫  四顧すれば何ぞ茫茫たる
  東風搖百草  東風 百草を搖がす
  所遇無故物  遇ふ所 故物無し
  焉得不速老  焉んぞ速やかに老いざるを得んや
  盛衰各有時  盛衰 各々時あり
  立身苦不早  立身 早からざるを苦しむ
  人生非金石  人生は金石にあらず
  豈能長壽考  豈に能く長く壽考ならんや
  奄忽隨物化  奄忽として物に隨って化す
  榮名以為寶  榮名 以て寶と為さん

車をめぐらせて、はるばる長道を涉る、あたりを見れば茫々とした景色が広がり、東風が草を揺るがしている、出会うものとてはことごとく始めて見る物ばかり、これでは暇もなく老いてしまうわけだ

盛衰には各々時というものがある、だから早く立身出世することが肝要だ、人生は金石の如く堅牢ではない、そんなに長生きはできないのだ、たちまち寿命が尽きて死んでしまう、せめて死後にも名を残したいものだ


人生は金石にあらずとは、人生の短さをたとえたものだ、人生は短いからこそ出世するためには時を有効に使わなければならぬ、死んでしまった後でも、名を残すことこそ、人としての甲斐性だ、この詩はこう歌っている

なにやら情けない口ぶりに聞こえるが、おそらく志を得られなかったものの自嘲の歌なのであろう


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