柘榴 Les Grenades :ポール・ヴァレリー

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ポール・ヴァレリーの詩「柘榴 」Les Grenades (壺齋散人訳)

  熟した実の過剰さに負けて
  開きかけた硬い柘榴
  あたかも賢者の額から
  思想がはじき出たかのようだ

  口を半ば開いた柘榴よ
  お前が受け止める太陽が
  お前の高慢に働きかけて
  赤い襞を破裂させたなら

  また黄色く乾いた殻が
  実の圧力に抗いきれずに
  果汁を散らしてはじけたなら

  そのきらめくような破裂に寄せて
  わたしの魂はお前の中の
  秘密の構造を夢見るだろう

柘榴の実は人間の額のように硬い。しかし実が熟すと自然と割れ目が入り、ついにははじけ開いて、中からルビーのような赤い実の粒粒が姿を現す。

ヴァレリーは柘榴がはじけるさまを、賢者の額から思想がほとばしり出るさまに喩えるとともに、その内部にある構造を人間の内臓にも喩えている。

不思議な感覚にとらわれる世界だ。


Les Grenades - Paul VALÉRY

  Dures grenades entr'ouvertes
  Cédant à l'excès de vos grains,
  Je crois voir des fronts souverains
  Éclatés de leurs découvertes !

  Si les soleils par vous subis,
  Ô grenades entre-bâillées,
  Vous ont fait d'orgueil travaillées
  Craquer les cloisons de rubis,

  Et que l'or sec de l'écorce
  À la demande d'une force
  Crève en gemmes rouges de jus,

  Cette lumineuse rupture
  Fait rêver une âme que j'eus
  De sa secrète architecture.


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