漢廣:求愛の歌(詩経国風:周南)

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詩経国風:周南篇から「漢廣」を読む。(壺齋散人注)

  南有喬木  南に喬木有り
  不可休息  休息す可からず
  漢有游女  漢に游女有り
  不可求思  求思す可からず

  漢之廣矣  漢の廣きこと
  不可泳思  泳思す可からず
  江之永矣  江の永きこと
  不可方思  方思す可からず

  翹翹錯薪  翹翹たる錯薪
  言刈其楚  言(われ)其の楚を刈る
  之子于歸  之の子于(ここ)に歸(とつ)がば
  言秣其馬  言 其の馬に秣(まぐさ)かはん

  漢之廣矣  漢の廣きこと
  不可泳思  泳思す可からず
  江之永矣  江の永きこと
  不可方思  方思す可からず

  翹翹錯薪  翹翹たる錯薪
  言刈其蔞  言 其の蔞(ろう)を刈る
  之子于歸  之の子于に歸がば
  言秣其駒  言 其駒に秣かはん

  漢之廣矣  漢の廣きこと
  不可泳思  泳思す可からず
  江之永矣  江の永きこと
  不可方思  方思す可からず

南に背の高い木がある、でも高すぎて休息することができぬ、漢水のほとりに遊ぶ乙女がいる、でも河が隔てて妻に求めることができぬ

漢水の広大なことは、泳ぎきることもできぬほどだ、長江の長大なことは、想像もできぬほどだ

欝然と茂る木のかなから、楚の木を刈り取って薪にしよう、かの乙女が嫁にきてくれたなら、その馬に秣をくれてやろう

漢水の広大なことは、泳ぎきることもできぬほどだ、長江の長大なことは、想像もできぬほどだ

欝然と茂る木のかなから、蔞の木を刈り取って薪にしよう、かの乙女が嫁にきてくれたなら、その子馬に秣をくれてやろう

漢水の広大なことは、泳ぎきることもできぬほどだ、長江の長大なことは、想像もできぬほどだ


見初めた女を妻にできぬあせりと、もしも女を妻にすることができたなら、何でも望みどおりのことをしてやろうと、男心の切なさを歌ったものであろう。漢は漢水、江は長江をさす、いづれも大河である、男はその大河の彼岸に女を見初めてこの嘆きを歌ったのだ、楚も蔞も木の名


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