草蟲:憂心忡忡たり(詩経国風:召南)

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詩経国風:召南篇から「草蟲」を読む。(壺齋散人注)

  喓喓草蟲  喓喓たる草蟲
  趯趯阜螽  趯趯(てきてき)たる阜螽(ふしゅう)
  未見君子  未だ君子を見ず
  憂心忡忡  憂心 忡忡たり
  亦既見止  亦既に見
  亦既覯止  亦既に覯(あ)はば
  我心則降  我が心則ち降(よろこ)ばん

  陟彼南山  彼の南山に陟(のぼ)り
  言采其蕨  言(ここ)に其の蕨を采る
  未見君子  未だ君子を見ず
  憂心惙惙  憂心 惙惙たり
  亦既見止  亦既に見
  亦既覯止  亦既に覯はば
  我心則說  我が心則ち說(よろこ)ばん

  陟彼南山  彼の南山に陟り
  言采其薇  言に其の薇を采る
  未見君子  未だ君子を見ず
  我心傷悲  我が心傷悲す
  亦既見止  亦既に見
  亦既覯止  亦既に覯はば
  我心則夷  我が心則ち夷(よろこ)ばん

草虫は喓喓と鳴き、イナゴは趯趯として飛んでいます、でもわたしはまだ夫と会うことができずに、心は忡忡として憂いに閉ざされています、もし夫の姿を見ることができ、夫に会うことができたならば、どんなにかうれしいことでしょう

あの南の山に登り、蕨を摘んでいます、でもわたしはまだ夫と会うことができずに、心は惙惙として憂いに閉ざされています、もし夫の姿を見ることができ、夫に会うことができたならば、どんなにかうれしいことでしょう

あの南の山に登り、蕨を摘んでいます、でもわたしはまだ夫と会うことができずに、心は傷んで憂いに閉ざされています、もし夫の姿を見ることができ、夫に会うことができたならば、どんなにかうれしいことでしょう


草虫とはキリギリスやイナゴの類をさす、涼しい声で鳴いては配偶者を呼び寄せ、互いに跳びまわっては戯れあうことから、夫婦円満のイメージを喚起したのだろうか

そんな草虫の中むつまじさに比べて、人間のわたしは夫と引き離されて悲しい思いをしている、もしも夫が帰ってきてその姿を見ることができたら、わたしの気持ちも草虫におとらずうれしいものになるでしょう、

そんな妻の切ない心を歌ったものと思われる


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