王権 Royauté :ランボー「イリュミナション」

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王権 Royauté :ランボー「イリュミナション」から(壺齋散人訳)

  ある晴れた朝 善良な市民たちに取り囲まれ
  身なりのよい男と女が 広場に向かって叫んでいた
  「諸君 わしはこれを女王にしたいのじゃ!」
  「わたしは女王様になりたいの!」
  女はこう叫んで身を震わした
  男は啓示と試練について 友人たちに語った
  二人は身を寄せ合って悶え苦しんだ

  実際その朝 二人は王と女王だった
  カーマインの釣り花が家々の窓を飾り
  午後には 二人して棕櫚の庭園から進み出てきたのだった

この象徴的な詩については、いくつかの解釈がなされてきた。エルネスト・ドラエイは、ランボーの人格の分裂に言及し、王は詩人としてのランボー、女王はランボーの心だと解釈している。

これに対して、ランボーとヴェルレーヌの関係を説くものもいる。それによれば王はランボー、女王は狂気の処女ヴェルレーヌということになる。


Royauté

    Un beau matin, chez un peuple fort doux,
  un homme et une femme superbes criaient sur la place publique:
  "Mes amis, je veux qu'elle soit reine!"
  "Je veux être reine!"
  Elle riait et tremblait.
  Il parlait aux amis de révélation, d'épreuve terminée.
  Ils se pâmaient l'un contre l'autre.

    En effet ils furent rois toute une matinée,
  où les tentures carminées se relevèrent sur les maisons,
  et tout l'après-midi, où ils s'avancèrent du côté des jardins de palmes.


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