シェイクスピアのソネット3 Look in thy glass

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シェイクスピアのソネット3 Look in thy glass, and tell the face thou viewest (壺齋散人訳)

  鏡の中を覗き込み、自分の顔に語りかけたまえ
  今こそそれと同じ顔を生み出すべき時なのだと
  君がもし子どもにその顔を伝えないならば
  君は世界をがっかりさせ 女性が母になる喜びを奪う

  どんな女性でもその処女なる腹を
  君によって耕されるのを望まないものはない
  なのに君が自分自身を愛する余りに
  子どもを作ろうとしないのは愚かなことだ

  君は君の母君の似姿であり 母君は君のうちに
  若い頃の自分の愛すべき姿を認める
  君も年老いて皴だらけになった後で 
  子どもに若いときの自分を認めるだろう
    だが子どもを持たず 誰にも思い出してもらえぬならば
    君は孤独のうちに死に 君の面影は残らないだろう


青年に対して重ねて子作りを勧める歌。青年の美しさはあらゆる女性を魅惑し、彼女らは青年によって腹を耕されるのを喜ぶだろう。そうして生まれた子どもは、青年が母親の似姿であるように、青年自身の似姿となって、老人になってもそこに、自分の若い頃の面影を認めることができるだろう。

それに反して子どもを設けずに終るなら、青年の美しい面影を伝えるものは、何も残らないだろう、と歌う。


Sonnet 3- –William Shakespeare

  Look in thy glass, and tell the face thou viewest
  Now is the time that face should form another;
  Whose fresh repair if now thou not renewest,
  Thou dost beguile the world, unbless some mother.
  For where is she so fair whose unear'd womb
  Disdains the tillage of thy husbandry?
  Or who is he so fond will be the tomb
  Of his self-love, to stop posterity?
  Thou art thy mother's glass, and she in thee
  Calls back the lovely April of her prime:
  So thou through windows of thine age shall see
  Despite of wrinkles this thy golden time.
    But if thou live, remember'd not to be,
    Die single, and thine image dies with thee.

thy glass:鏡、Whose:君が見ているその顔、unear'd womb:耕されていない処女の腹、fond:おろかな、the tomb of his self-love:自分を愛しすぎることによって子を作ろうとせず、自ら墓穴を掘る、remember'd not to be:思い出されることもなく、Die single;ひとりで孤独に死ぬ


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