詩経国風:邶風篇から「靜女」を読む。(壺齋散人注)
靜女其姝 靜女 其れ姝(かおよ)し
俟我於城隅 我を城隅に俟(ま)つ
愛而不見 愛(かく)れて見えず
搔首踟躕 首を搔きて踟躕す
靜女其孌 靜女 其れ孌(れん)たり
貽我彤管 我に彤管を貽(おく)れり
彤管有煒 彤管 有煒たり
説懌女美 女(なんじ)の美しさを説懌(えつえき)す
自牧歸荑 牧より荑(つばな)を歸(おく)れり
洵美且異 洵(まこと)に美しく且つ異なり
匪女之為美 女を之美しと為すに匪(あら)ず
美人之貽 美人の之れ貽(おく)ればなり
靜女は顔が美しい、わたしを城隅で待っているといってくれた、いってみると姿が見えない、わたしは頭を掻いてたたずむだけだ
靜女は姿が上品だ、わたしに赤い管を贈ってくれた、赤い管はきれいだが、靜女のほうが美しい
靜女は牧場からつばなをつんできてくれた、つばなは美しく珍しい、だがその美しいと思うわけは、靜女が贈ってくれたからだ
愛する女への思いを歌ったもので、説明の必要もないほど単純なものだ。誰しも恋に陥った男は、この詩にあるような気分になることだろう。
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