再燃するグルジア紛争

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グルジアで紛争が再燃している。南オセチアの分離独立運動に対してグルジア軍が介入し、首都のツヒンヴァリを中心に武力衝突が勃発しているのだ。この衝突に、コーカサスのコサックたちが多数加わり、南オセチア側にたって戦闘を繰り広げているようだ。

南オセチアは、グルジアの北側に隣接する北オセチア共和国と伝統的に一体的な関係にあったが、グルジア領に取り込まれ、両者は政治的に分断されてきた。だから南オセチアには、北オセチアとの連合を望む動きが常にくすぶっており、今回もそれが噴出した形だ。これに対して、グルジア政府が強硬な態度に出たのである。

オセチアはまた、歴史的にコサックの多い地域だ。コサックとは民族的な概念ではなく、逃亡農奴を祖先にもつ文化的な概念の集団で、コーカサス地方に多数存在している。ロシア政府は、このコサックを武装させて、グルジアとの国境の警備に当たらせてきた。今回の衝突では、彼らコサックの部隊が、オセチア側にたって参戦している。

グルジアは、アブハジアの分離独立運動も抱えている。今回の衝突においては、アブハジアは南オセチア側にたって、グルジアに揺さぶりをかけている。

両者の背後には大国の影がちらついていると見られている。南北オセチアの背後にはロシアがあり、グルジアの背後にはアメリカがあるといった見方だ。

アメリカは、南オセチアの分離独立には否定的なようで、ロシアに対しては、コサックらの国外勢力の介入をやめさせるように求めている。一方、グルジア軍の攻撃にさらされている南オセチア人は、ロシアによる強力な介入を求めているといわれる。

グルジアはコーカサス南部の小国だが、かつてはスターリンを生み、またシュワルナーゼのような政治家を出した。だが国内は複雑な民族事情を抱え、国民としての統合にはさまざまな障害を抱えているようだ。


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このページは、が2008年8月11日 19:04に書いたブログ記事です。

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