くよくよしないでハッピーでいよう

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人間つねにハッピーな気分でいたいものだ。ハッピーな気分に浸っていられれば、生きていることが楽しいし、その結果世界に対して活動的で開かれた姿勢をとることができる。また自分自身に充実感が持て、出来事に関してよりよい選択を下し、周囲ともよりよい友好関係を築くことができる。

逆にハッピーな気分を保てないと、生きていても楽しいとは感じられないだろう。そのような人は常々くよくよとして、自分の人格に自信を持てず、周囲と調和ある関係を築くのも難しいと感ずる場合が多い。その結果、ままならぬことに直面すると攻撃的ないし逃避的な態度をとり、とかく自滅的な結果を招きやすい。

では人はどうしたらハッピーになれるか。

人間をハッピーにさせる要因には、物質的なものと精神的なものとがある。物質的な満足は幸福であるための必要条件といえるが、十分条件とはいえない。何故ならそれは、瞬間的に幸福感を高めることはあっても、持続的に作用することはないからだ。その辺の事情は、先稿「幸福の度合い」で取り上げたように、人間の満足感には経済学でいう「限界効用逓減の法則」に似たプロセスが働いているためだろう。

精神的な要因としては、自分自身に対する充実感、身近な人との友情や恋愛、人間社会とのかかわり、生活環境の質などがあげられよう。これらの要因がうまく作用すると、その人は、自分に対しても、他人に対しても、また社会に対しても高い満足感を抱き、しかもそれが長く持続する。

オランダのヴェーンホーフェン教授が行った調査によれば、世界で最も満足度の高い人々は、アメリカの尼僧たちであったという。彼女らは、修道院という友愛的な組織に帰属し、あらゆるストレスから開放されて、自分の目的である宗教的な生き方を追求している。その結果自分が幸福であると感じることができるのだ。

ところで満足感が高く、常にハッピーな気分でいられる人々は、そうでない人々に比べて寿命も長いと、ヴェーンホーフェン教授はいう。教授の研究結果によれば、7年半から10年は長く生きられるというのだ。

おそらく満足度の高い人々は、ゆったりとした気分を保ち、ストレスには無縁なことから、ストレスに起因する疾病にかかる確率が低いからだろう。ストレスにさらされることの多い人は、高血圧に陥りやすく、また感染症に対する抵抗力も弱いと、教授は言う。

こんなところから教授は、人々の満足度を、豊かな社会の指標として、もっと真剣に取り上げるべきだという。社会の豊かさとは、単に物質的な財が豊富にあるというにとどまらず、成員の精神的な満足度が高いことを含んでいる、という考え方である。

一部の経済学者の中には、この満足感あるいは幸福の度合いを、実体経済のインジケーターとして取り入れようとする動きもある。

教授はまた、身体の不具合にはそれを直すための医師がいるように、人々の不満についても、それを解消し満足感を与えてやれるようなスペシャリストが必要だとも言っている。

ともあれ、これから人類が目指すべき社会を「ゆとりある社会」とするならば、そこでの合言葉は、「くよくよしないで、ハッピーでいよう」ということになろう。


関連リンク: 人間の科学

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    このページは、が2008年8月23日 19:35に書いたブログ記事です。

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