狩の角笛 Cors de chasse :アポリネール

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ギヨーム・アポリネールの詩「狩の角笛」 Cors de chasse(壺齋散人訳)

  俺たちの恋愛は気高くも悲劇的
  暴君の仮面をみるようだ
  どんな不思議なドラマも
  どんな些細なことがらも
  俺たちの愛を掻き立てたことはなかった

  あのトマス・デクィンシーは
  甘く切ないアヘンにおぼれて
  夢見心地でアンナを訪ねた
  何事も流れのままにまかせよう
  そして時たま戻ってこよう

  思い出は狩の角笛のように
  風のまにまに消え去っていく


悲劇的な愛が暴君の仮面を連想させるのは、仮面に表情がないということか。トマス・デクィンシーを持ち出したのは、自分たちの愛がはかないことをいいたいからか。そして愛の思い出は、角笛の音が弱まっていくように、次第に消え消えとなり、最後には沈黙の闇に沈んでしまう。


Cors de chasse

  Notre histoire est noble et tragique
  Comme le masque d'un tyran
  Nul drame hasardeux ou magique
  Aucun détail indifférent
  Ne rend notre amour pathétique

  Et Thomas de Quincey buvant
  L'opium poison doux et chaste
  À sa pauvre Anne allait rêvant
  Passons passons puisque tout passe
  Je me retournerai souvent

  Les souvenirs sont cors de chasse
  Dont meurt le bruit parmi le vent


関連リンク: 詩人の魂ギヨーム・アポリネール:生涯と作品

  • フランス文学と詩の世界




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