七月:年間行事を歌う(詩経国風:豳風)

| コメント(0) | トラックバック(0)

詩経国風:豳風篇から「七月」を読む。(壺齋散人注)

七月流火    七月流火あり
九月授衣    九月衣を授く
一之日觱發  一の日は觱發たり
二之日栗烈  二の日は栗烈たり
無衣無褐    衣無く褐無くんば
何以卒歲    何を以てか歲を卒へん
三之日于耜  三の日 于(ここ)に耜(し)し
四之日舉趾  四の日 趾(あし)を舉ぐ
同我婦子    我が婦子とともに
饁彼南畝    彼の南畝に饁(かれひ)す
田畯至喜    田畯至り喜ぶ

七月には火星が西に流れる、九月には家族に衣を与えねばならぬ、十一月には風が寒くなり、十二月には激しく吹く、衣がなければ、どうして年を越せようか、明けて三月には鋤の手入れをし、四月には足を上げて耕さねばならぬ、我が妻子とともに、南の畑で働いていると、田んぼの役人さんがやってきて、喜びなさるだろう(流火:火は火星のこと、それが西へ流れるのを流火という、一之日:十一月をさす、田畯:田んぼを管轄する役人)

農民の歳時を詠んだ歌。全体は八章からなる。上はその第一、次は第四の章である。

四月莠葽    四月莠葽(しうよう)あり
五月鳴蜩    五月鳴蜩あり
八月其穫    八月其れ穫(わせか)る
十月隕蘀    十月隕蘀(いんたく)あり
一之日于貉  一之日于(ここ)に貉(かく)す
取彼狐狸    彼の狐狸を取りて
為公子裘    公子の裘と為す
二之日其同  二之日其れ同(とも)にして
載纘武功    載ち武功を纘(つ)ぐ
言私其豵    言(ここ)に其の豵を私し
獻豜于公    豜(けん)を公に獻ず

四月には莠葽(薬草)を取る、五月には蝉が鳴く、八月には早稲を刈り、十月には落ち葉が散る、十一月にはムジナを捕らえ、公子の裘として献上する、十二月には国人が大勢で狩をして、武勇を継承する、小さな獣は私用に食し、大きな獣は献上するのだ(隕蘀:枯葉が落ちること、其同:大勢で狩をすること、豵:小獣、豜:大獣)


  • 詩経国風
  • 古詩源:中国古代の詩

  • 古詩十九首

  • 漢詩と中国文化

  • 陶淵明:詩と構想の世界




  • ≪ 蜉蝣(詩経国風:曹風) | 中国古代の詩 | 楚辞:屈原と中国古代の南方の詩 ≫

    トラックバック(0)

    トラックバックURL: http://blog.hix05.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/1039

    コメントする



    アーカイブ

    Powered by Movable Type 4.24-ja

    本日
    昨日

    この記事について

    このページは、が2008年9月18日 18:28に書いたブログ記事です。

    ひとつ前のブログ記事は「蜉蝣(詩経国風:曹風)」です。

    次のブログ記事は「FRB、AIGに公的資金投入」です。

    最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。