春に寄す To Spring:ウィリアム・ブレイク

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ウィリアム・ブレイク詩集「ポエティカル・スケッチ」から「春に寄す」 To Spring(壺齋散人訳)

  髪を露に滴らせ さわやかな朝の窓越しに
  下界を見下ろしているあなた
  その天使のまなざしを私たちの島に向けてください
  私たちは合唱してあなたの到来を祝いましょう おお春よ!

  丘々は語らい 谷々は聞き耳を立てて聞く
  私たちはみな目を皿にしてあなたのいる
  明るい天蓋の方を望み見るのです さあ
  身を乗り出して私たちの国に足を踏み入れてください

  東の丘々を超えてやってきてください 
  あなたの薫り高い衣装に私たちの風が接吻します
  あなたの朝夕の息吹を私たちに味あわせてください
  あなたを恋い焦がれる土地の上に真珠を撒いてください

  私たちの土地をあなたの指で飾り付けてください
  大地の懐にあなたのキスを投げ注いでください
  悩める山の頂に黄金の冠をかぶせてください
  森の木々はあなたを待ち望んでいるのですから


春の到来を待ちわびる、生き生きとした詩である。春は擬人化されて、天上から地上へと降りてくる使者として描かれている。その使者に対して、地上の人々は、両手を広げて歓迎する準備をしている。

この詩以降冬までの季節を歌った詩は、いずれも規則的な韻を踏んでおらず、技術的に未熟なところから、まだ少年時代に書かれたものと思われる。


To Spring : William Blake

  O Thou with dewy locks, who lookest down
  Thro' the clear windows of the morning, turn
  Thine angel eyes upon our western isle,
  Which in full choir hails thy approach, O Spring!

  The hills tell each other, and the list'ning
  Valleys hear; all our longing eyes are turnèd
  Up to thy bright pavilions: issue forth,
  And let thy holy feet visit our clime.

  Come o'er the eastern hills, and let our winds
  Kiss thy perfumèd garments; let us taste
  Thy morn and evening breath; scatter thy pearls
  Upon our love-sick land that mourns for thee.

  O deck her forth with thy fair fingers; pour
  Thy soft kisses on her bosom; and put
  Thy golden crown upon her languish'd head,
  Whose modest tresses were bound up for thee.


関連リンク:ポエティカル・スケッチ:ブレイク詩集

  • ウィリアム・ブレイク詩集:無垢と経験の歌





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    このページは、が2009年2月 4日 18:56に書いたブログ記事です。

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