李白の五言絶句「内(つま)に贈る」(壺齋散人注)
三百六十日 三百六十日
日日醉如泥 日日に醉ひて泥の如し
雖爲李白婦 李白の婦爲ると雖も
何異太常妻 何ぞ太常の妻に異らん
一年三百六十日、毎日泥のように酔いつぶれている、これではお前が李白の妻といっても、あの太常の妻と同じだね
李白は妻に贈った詩をいくつか残している。これはそのなかでも特に有名なもの。ただ書かれた時期や、どの妻なのかは、正確にはわかっていない。ここでは仮に、長安への旅立ちに際して書かれたと仮定した。
太常は官名、宮中で天子の祖先を祭る役。後漢の周沢は太常となって毎日物忌みをしていたが、ある日その行跡を怪しんだ妻が様子を見に周沢のもとを訪ねた。すると周沢は偉く怒って、妻を罪に服させたという故事がある。
後漢書はその故事を次のように記している。「世に生まれて諧(たの)しまざるは太常の妻と作(な)ることなり。一歳三百六十日、三百五十九日は齋をし、齋せざる一日は酔うて泥の如し。」
李白の詩はこの記事を踏まえているのだろう。
関連リンク:李白:生涯と作品
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