李白の七言古詩「子夜呉歌」(壺齋散人)
長安一片月 長安一片の月
萬戸擣衣聲 萬戸衣を擣(う)つの聲
秋風吹不盡 秋風吹いて盡きず
總是玉關情 總て是れ玉關の情
何日平胡虜 何れの日にか胡虜を平らげて
良人罷遠征 良人遠征を罷めん
長安の空に一片の月がかかり、家々からは冬支度のために衣をうつ音が聞こえてくる、秋風が吹き止まないのは、玉關の情が込められているから、いつになったら胡虜を平らげて、愛する人が遠征から帰ってくるのでしょう
子夜呉歌とは樂府の一種。子夜という娘が作った呉の地方の歌である。李白はこの曲に合わせて、春夏秋冬それぞれを歌った四首の詞を書いた。これは秋を歌ったもので、四首のなかでもっとも有名なものである。
歌の内容は、戦役を憂える婦人の気持ちを歌ったものだろう。李白が玉門関を訪ねたという記録はないから、想像を以て玉門の情を込めたのだと思う。
関連リンク:李白>長安の李白
漢詩と中国文化
コメントする