下終南山過斛斯山人宿置酒:李白

| コメント(0) | トラックバック(0)

李白の五言古詩「終南山を下り斛斯山人の宿を過りて置酒す」(壺齋散人注)

  暮從碧山下  暮に碧山より下れば
  山月隨人歸  山月人に隨って歸る
  卻顧所來徑  來る所の徑を卻顧すれば
  蒼蒼橫翠微  蒼蒼として翠微に橫はる
  相攜及田家  相ひ攜へて田家に及べば
  童稚開荊扉  童稚 荊扉を開く
  綠竹入幽徑  綠竹 幽徑に入り
  青蘿拂行衣  青蘿 行衣を拂ふ
  歡言得所憩  歡言 憩ふ所を得て
  美酒聊共揮  美酒 聊か共に揮ふ
  長歌吟松風  長歌 松風に吟じ
  曲盡河星稀  曲盡きて河星稀なり
  我醉君復樂  我醉へり君も復た樂しめ
  陶然共忘機  陶然として共に機を忘れん

日暮れに碧山から下ってくると、山月も我々についてくる、下りてきた道を振り返れば、薄暗い山中に道がぼんやりと続いて見える

君と連れ立って田家につけば、子どもらが門を開けて迎えてくれた、緑の竹が幽徑まで生い茂り、青いツタが我が衣にまとわりつく

談笑しながら体を休めるところを得て、ともに美酒を酌み交わそう、松風に乗せて長々と歌を歌い、歌い終われば天の川もかすかになる

私は酔った、君もまた楽しめ、この境地に遊んでつまらぬことは忘れよう


斛斯(こくし)山人とは李白の道士仲間である。その人と共に山中に遊び、その帰りに田家に立ち寄って、くつろぎかつ飲む。山中問答の詩と同じような趣を歌ったこの詩は、李白の一つの理想を表したものだろう。


関連リンク:李白長安の李白

  • 漢詩と中国文化




  • ≪ 將進酒:李白 | 漢詩と中国文化 | 對酒憶賀監:李白 ≫

    トラックバック(0)

    トラックバックURL: http://blog.hix05.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/1458

    コメントする



    アーカイブ

    Powered by Movable Type 4.24-ja

    本日
    昨日

    この記事について

    このページは、が2009年4月 1日 18:31に書いたブログ記事です。

    ひとつ前のブログ記事は「流れ星の大気圏突入とその残骸」です。

    次のブログ記事は「對酒憶賀監:李白」です。

    最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。