生命が宿る星を探す

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21世紀に入って、太陽系外の惑星が次々と発見され、その数はいまや350近くにもなる。天文学者たちが惑星の発見にやっきになる動機はいうまでもなく、地球によく似た惑星、つまり生命が宿る星を探すことだ。仮に探せなくとも、惑星とその親星との関係を通じて、太陽系に関する新たな知見が得られるかもしれない。

惑星が生命を宿すためには、親星との関係で一定の条件を満たしていなければならない。ひとつは生命が可能なほどの気象条件を得られる距離にあるということだ。親星に近すぎると温度が高くなりすぎ、水分は蒸発して生命は生まれない。逆に親星から遠く離れすぎていると、温度が低くなりすぎ、やはり生命は生まれない。この中間の条件を与えてくれるものは、親星との間で一定の距離を置いた軌道圏だ。天文学者はこの軌道圏を、Water World といっている。

次に惑星の大きさだ。これまでに発見された惑星のほとんどは、地球に比較して途方も無く大きい。こうした惑星は、木星と同じく大部分はガス状であると考えられる。地球と同じように、大きさはコンパクトで、表面を岩で覆われた星でないと海は形成されないし、したがって生命が生まれる確率は低くなる。

これまでに発見されたなかで、もっとも太陽系に近いと考えられるものは Gliese581 だ。地球から20光年離れたところにあるこの星には、これまで四つの惑星が確認されていた。そのなかで Glise581-d という惑星は、Water World の軌道圏内にあることが確実視されているが、地球の100倍も大きく、おそらく木星と同じようなガス状の星ではないかと考えられている。

最近この Gliese581 に五つ目の惑星が確認された。Glise581-e と呼ばれるその惑星は天体のなかで親星に最も近い軌道を回っており、大きさは地球の1.9倍ということだ。大きさから推測すると、地球によく似た岩状の星である可能性が高い。しかし仮にそうだとしても、親星に余りにも近いために、温度が高すぎて、生命は生まれないだろうと考えられている。

もしもGlise581-e が Glise581-d の軌道を回っていたとしたら、それは地球同様に生命を宿していたかもしれない。天文学者ならずとも、科学的な想像を掻き立てられるところだ。

今後多くの惑星が次々と発見されるだろう。太陽系に似た天体が観測される可能性もある。そうすれば、地球と同じように生命を宿している星が見つかるかもしれない。

なにしろ惑星の発見はごく最近始まったことであるし、宇宙にはそれこそ無数の天体がある。そんなことを考えると、宇宙のどこかに太陽系に類似した天体が存在しないことのほうが不自然だ。





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このページは、が2009年5月 3日 18:41に書いたブログ記事です。

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