無益なこと Futility:ウィルフレッド・オーウェン

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ウィルフレッド・オーウェンの詩「無益なこと」Futility(壺齋散人訳)

  そいつを日の光にあててやれ
  ひとたびはその光で目覚めた男だ
  日の光はいつも 大地にそそぎながら
  フランスにいてさえ その男を目覚めさせたんだ
  雪に包まれたこの日の朝
  いまこいつを目覚めさせるものがあるとしたら
  日の光がもっとも相応しい

  太陽はいつも種を芽生えさせ
  冷たかった大地を目覚めさせた
  土には四肢が生え わき腹は
  血の気を帯びて暖かく 硬く引き締まった
  なのに土が成長したのは死ぬためだったのか
  うつろな日の光は何のために
  大地の眠りを目ざめさせようというのか


戦死した兵士について歌ったものだろう。Futilityと題しているのは、いまさら太陽の光にあてても生き返らないからだ。詩の中で「土」とあるのは、人間の肉体の比喩的表現。


Futility

Move him into the sun -
Gently its touch awoke him once,
At home, whispering of fields unsown.
Always it woke him, even in France,
Until this morning and this snow.
If anything might rouse him now
The kind old sun will know.

Think how it wakes the seeds -
Woke, once, the clays of a cold star.
Are limbs so dear-achieved, are sides
Full-nerved, - still warm, - too hard to stir -
Was it for this the clay grew tall?
- O what made fatuous sunbeams toil
To break earth's sleep at all?


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このページは、が2009年6月23日 18:39に書いたブログ記事です。

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