李白の雑言古詩「臨路歌」(壺齋散人注)
大鵬飛兮振八裔 大鵬飛んで 八裔に振ひ
中天摧兮力不濟 中天に摧けて 力濟(つづ)かず
余風激兮萬世 余風は萬世に激するも
游扶桑兮挂石袂 扶桑に游んで 石に袂を挂く
後人得之傳此 後人之を得え此を傳ふるも
仲尼亡兮誰為出涕 仲尼亡びて 誰か為に涕を出ださん
大鵬は飛んで地の果てを目指したが、中天で砕けて力が続かなかった、その世風は後の世までも吹き渡るだろうが、扶桑に遊んだ際に石に袂を引っ掛けてしまったのだ、後世の人がその袂を見つけ出したとしても、孔子がいなくなった後では、誰もそれを嘆くものはいない
この詩は李白の臨終の歌であると、古来考えられてきた。李白は自分を大鵬にたとえ、壮大な志を持ちながら、それを発揮できずに頓挫したと嘆いている。そしてもし後世の人が自分の遺稿に接することがあるとしても、それを果たして正統に評価してくれるかどうか、不安をもらしている。
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