にんにくが健康によいことは、別稿で述べたとおりだ。成分のうち硫化水素が血流をよくするほか、がんの発生を抑制する物質も豊富に含まれている。健康志向の人にとっては、究極の健康食品といえるものだが、その強烈な匂いを敬遠して、食べるのをためらう人が多い。ところが黒にんにく Black Garlic(上の写真:AP提供)は、匂いをほとんど感じさせず、しかもにんにくの利点が濃縮されている。そんなところから俄然、世界中のグルメファンから熱い注目を浴びるようになった。
黒にんにくは、生のにんにくを比較的高温の状態で一ヶ月ほどかけて発酵させたものだ。含有糖分が熱せられて焦げることにより、肉質が黒くなる。また熱と発酵の効果でやわらかくなる。味についてはにんにく特有のとげとげしさがなくなり、いやな匂いがほとんどしない。
一番大事なことは、発酵を通じて抗酸化物質が生にんにくの二倍に増え、がんを抑制する作用も高まるということだ。
調理の方法は生にんにくよりバラエティに富んでいる。普通のにんにくはとても生では食べられないが、これは生でも食べられる。やわらかく簡単にペースト状に出来るため、バターの代わりにパンに塗ってもよい。そのほかどんな料理に加えても、味をひきたてる力がある。
いいことづくめの黒にんにくだが、これまで料理の世界ではあまり知られていなかった。2004年に韓国で開発され、その後日本でも一部の人たちには知られていた。それを最近アメリカの料理研究家が知るに及んで、世界中に知られるようになったものだ。
いまのところ普通の店で買えるといった状態には程遠いが、その効用が広く知られるようになれば、市場に多く出回るようにもなるだろう。
(参考)A Garlic Lover's Twist on a Classic Ingredient By CookingEnthusiast.com
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