先日政府が新たなデフレ宣言をしたことに見られるように、昨今のデフレーションは一段とすさまじい様相を呈している。価格破壊の前線はスーパーを通り越してコンビニにまで及んできている。そんな趨勢の中で、自動販売機の市場も、安間とはしていられなくなった。
自販機の目玉商品である飲料の価格は、全国どこで買っても、350ccのレギュラーサイズが120円、500ccのものが130-150円だ。この価格設定はここ数年の間変わっていない。一方スーパーでは、500ccのペットボトルでも100円を割り込む状況だ。
自販機での価格が下落しないでこられたのは、市場の特殊性によるらしい。自販機をメーカー自ら製造し、それに自社ブランドの商品を詰め込むようにセッティングして、契約者に置かしてもらう。価格の設定に当たっては、メーカー側の意向が強力に働く。それは市場が寡占的になっていることの賜物だ。
この寡占的な市場に挑戦する新規参入者が出てきた。関西に本拠を持つ WEX という業者は、ブランド物の飲料を含めて価格を大幅に引き下げたのだ。レギュラーサイズの缶コーヒーが100円、500ccの自社ブランドの飲料も100円といった具合だ。
この業者はいまや関西に2300台、東京には700台の自販機を置いている。自販機には We've hammered down the Prices と書かれている。いまのところ東京では、駐車場に置かれているケースがほとんどだそうだが、そのうち町中いたるところで見かけるようになるかもしれない。
契約者に対しては、機械を置くための地代のほかに売り上げの10パーセントを還元するという条件をつけている。通常の自販機に比較して三倍以上も売れるというから、契約者としては十分メリットになるらしいのである
こうした動きが広がることに、既成の自販機業者は神経を尖らしている。いったん市場での価格の均衡が破れて安売りが始まると、歯止めがきかなくなることを、彼らは十分に知っているからだ。
コメントする