對雪 杜甫

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杜甫の五言律詩「雪に對す」(壺齋散人注)

  戰哭多新鬼  戰哭 多くは新鬼なり
  愁吟獨老翁  愁吟するは獨り老翁
  亂雲低薄暮  亂雲 薄暮に低(た)れ
  急雪舞回風  急雪 回風に舞ふ
  瓢棄尊無綠  瓢棄てられて 尊に綠(さけ)無く
  爐存火似紅  爐存して 火は紅に似たり
  數州消息斷  數州 消息斷ゆ
  愁坐正書空  愁ひ坐して正に空に書す

戦場で叫んでいるのは死んだ者たちの魂だ、生きて嘆き悲しんでいるのは独り老翁のみ、乱雲が薄暮の空に立ち込め、雪が風にあおられて舞っている

捨てられた瓢に酒はなく、囲炉裏ばかりが赫々と燃え盛っている、数州の消息が絶えたままだ、かくては憂いのうちに座して、指で空中に文字をかくばかり


至徳元年の冬に書かれたものだろう。陳陶、青阪と二度にわたる敗戦で死んだ兵士たちに思いをはせながら、胡軍が占領する都の惨状を嘆いたものと思われる。





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このページは、が2009年12月 3日 18:22に書いたブログ記事です。

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