ぎょしゃ座のエプシロン Epsilon Aurigae

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ぎょしゃ座は冬の夜空をいろどる星座のひとつだ。オリオン座の三ツ星の北側にひときわ大きく光るカペラが星座のシンボル、その傍らに、カペラほど大きくはないが、やはり明るく見える星にエプシロンがある。

この星は昔から定期的に、月蝕のように暗くなることが知られている。いまはその蝕の始まった時期で、いつもなら明るく見えるはずの星を見ることが出来ない。この現象は昨年の8月頃に始まり、来年の始めまで続くと予想されている。

この現象が始めて確認されたのは、1821年のことだ。以来ほぼ27年おきに蝕が発生し、そのたびに18ヶ月もの長い間、光を失ってきた。

エプシロンに蝕の現象が起こるのは、双子星の働きによると考えられる。双子星の多くは、片方が相棒の周囲を回っている。重力の差がそうさせるのだ。この双子の弟分が地球とエプシロンの間に来ると、月蝕のように星か欠けて見えるわけだ。

だが普通のケースでは、蝕はそう長い時間は続かない。エプシロンのケースは異常といえる。何故こんなにも長い間、蝕の現象が持続するのか。

スピッツァー衛星が送ってきたデータに基づいて、アメリカの天体学者ドン・ホード Don Hoard 氏が、この謎に一定の説明を行った。

ホード氏によると、エプシロンの弟星は、巨大なディスク状の雲に覆われている。このディスクは宇宙塵で出来ていて、光を遮るほど密度が濃いため、これに覆われると隠れて見えなくなる。問題はその大きさだが、直径が12億キロもあるらしい。地球と太陽の間の距離のなんと8倍の大きさだ。こんなに巨大な天体だからこそ、長い時間他の星を目隠しできるというわけらしい。

このディスク状の雲の中心にはBタイプの青い星がある。しかしBタイプの星がこんなに巨大で密度の高い物質を周辺に集めるということは、今までの天文学の常識では理解できないことが多い。そこでさまざまな推測がなされ、星の重力を補完するような別の物質がディスクの中心に位置しているのではないかと考えられた。学者のなかにはブラックホールの存在を想定するものもあったが、もしそうならBタイプ程度の星なら飲み込んでしまうはずだ。

こんなわけで、エプシロンの蝕のメカニズムはある程度わかってきたが、その周辺にある謎については、まだわからぬことが多い。

なお、上のイラスト(ナショナル・グラフィック)は、ディスクの状態を想像して描かれたイメージ図だ。





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