接吻 THE KISS:ダンテ・ガブリエル・ロゼッティ

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ダンテ・ガブリエル・ロゼッティの詩から「接吻」THE KISS(壺齋散人訳)

  死の床にくすぶり続ける感覚だろうか
  それとも悪意ある一撃だろうか
  私たちの肉体から自尊心を奪い
  私たちの魂から婚礼の衣装を引き剥がすのは
  ああ いまでも彼女の唇はわたしの唇に
  まとわりつき からみあっている
  オルフェウスがいまはのときに臨んで
  色あせた恋人の顔を追い求めたように

  私は彼女の手に愛撫されるときには子どもだ
  ふたりの胸と胸が合わさるときには男だ
  彼女の魂が私を見据えるときには私も魂になる
  私たちの命が溶け合い 全霊をかけて互いの血を
  滾らせるそのとき 私は神になる
  熱情はほとばしり 炎は燃えさかり 欲望は聖なるものとなる


「命の家」第7番。接吻と題されているが、セックスそのものを連想させる。この後に続く Nuptial Sleep とともに、余りにも挑発的な内容が、ヴィクトリア時代の紳士たちの度肝を抜いた。


THE KISS

  What smouldering senses in death's sick delay
  Or seizure of malign vicissitude
  Can rob this body of honour, or denude
  This soul of wedding-raiment worn to-day?
  For lo! even now my lady's lips did play
  With these my lips such consonant interlude
  As laurelled Orpheus longed for when he wooed
  The half-drawn hungering face with that last lay.

  I was a child beneath her touch,--a man
  When breast to breast we clung, even I and she,--
  A spirit when her spirit looked through me,--
 A god when all our life-breath met to fan
  Our life-blood, till love's emulous ardours ran,
  Fire within fire, desire in deity.*


関連サイト:英詩と英文学






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