心の逃げ場所 HEART'S HAVEN:ダンテ・ガブリエル・ロゼッティ

| コメント(0) | トラックバック(0)

ダンテ・ガブリエル・ロゼッティのソネット集「命の家」から「心の逃げ場所」 HEART'S HAVEN(壺齋散人訳)

  彼女も私の腕の中で子どもになるときがある
  けれど愛の翼に包まれながらも身を縮め
  涙を流しつつわずかにそむけたその顔が
  何故か不安そうな様子に見えるのだ

  わたしは自分の心の中の邪悪を取り払おうと
  かえって彼女の胸のなかに逃げ場所を求める
  それはどんな邪悪も寄せ付けぬ砦
  どんな魔法も解いてくれる安らぎの場所

  愛よ 夜には光を真昼には日陰をもたらしておくれ
  歌声でわたしたちを慰めておくれ
  そして世の中のつらいことを忘れさせておくれ

  月が満ちて明らかな光を放つように
  せせらぎがやさしい音を月に向かってささやくように
  わたしたちの魂にもロンドの調べを奏でさせよう


「命の家」第22番。自分の心の中の邪悪が、愛する人をやさしく抱きかかえられない不安を歌う。自分は彼女にとっての安らぎの場所であるべきなのに、それが出来ずに、かえって彼女の胸の中に逃げていく羽目になる。


HEART'S HAVEN

  Sometimes she is a child within mine arms,
  Cowering beneath dark wings that love must chase,--
  With still tears showering and averted face,
  Inexplicably filled with faint alarms:
  And oft from mine own spirit's hurtling harms
   I crave the refuge of her deep embrace,--
   Against all ills the fortified strong place
   And sweet reserve of sovereign counter-charms.

   And Love, our light at night and shade at noon,
  Lulls us to rest with songs, and turns away
  All shafts of shelterless tumultuous day.
  Like the moon's growth, his face gleams through his tune;
  And as soft waters warble to the moon,
  Our answering spirits chime one roundelay.


関連サイト:英詩と英文学






≪ 真昼の野辺 SILENT NOON:ダンテ・ガブリエル・ロゼッティ | 英詩のリズム | 愛の命 LIFE-IN-LOVE:ダンテ・ガブリエル・ロゼッティ ≫

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://blog.hix05.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/2109

コメントする



アーカイブ

Powered by Movable Type 4.24-ja

本日
昨日

この記事について

このページは、が2010年2月14日 18:57に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「朝鮮の豚:売られる脱北女性」です。

次のブログ記事は「アメリカのホームレス」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。