死を超えた愛 Through Death to Love:ダンテ・G・ロゼッティ

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ダンテ・ガブリエル・ロゼッティのソネット集「命の家」から「死を超えた愛」Through Death to Love(壺齋散人訳)

  月の周りに重苦しく垂れ込めた雲が
  荒涼たる丘を吹きぬける風から逃れ去るように
  満潮が渦巻く激流となって幾重にも重なり
  夜の闇に消えゆくように
  猛火と海の不気味さから滲み出た恐怖のように
  そのようなものとしてわたしらは死をイメージする
  わたしらの息で曇ったガラス窓の内側に浮かび上がる影
  あるいは永遠から切り取られた砂州のようなものとして

  死の差し迫った影がどんなに恐ろしくとも
  小川の流れよりもおだやかに流れ
  鳩の飛翔よりも軽やかに舞う力がある
  それは我が心よ 天子が扉を開けて
  喜び迎えてくれる火のように熱いお前の力だ 
  なぜならお前は愛の僕だから


「命の家」第41番。前段で死のイメージを語り、後段では、死の恐怖を乗り越えるものが、ほかならぬ我々自身の心であることを歌う。なぜなら心は愛の僕だからと。


THROUGH DEATH TO LOVE

  Like labour-laden moonclouds faint to flee
  From winds that sweep the winter-bitten wold,--
   Like multiform circumfluence manifold
   Of night's flood-tide,--like terrors that agree
   Of hoarse-tongued fire and inarticulate sea,--
  Even such, within some glass dimmed by our breath,
   Our hearts discern wild images of Death,
   Shadows and shoals that edge eternity.

   Howbeit athwart Death's imminent shade doth soar
   One Power, than flow of stream or flight of dove
   Sweeter to glide around, to brood above.
   Tell me, my heart;--what angel-greeted door
   Or threshold of wing-winnowed threshing-floor
   Hath guest fire-fledged as thine, whose lord is Love?


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