究極のシースルー:Pam Hoggの挑発

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次の秋冬シーズンに向けて世界の四大ファッションウィークが次々と開かれている。どれもおしゃれな女性には興味のあるところだろう。そのなかでも今年はロンドンのファッションウィークが大きな話題をさらっているという。パンクファッションの旗手として知られる Pam Hogg が、度肝を抜くような大胆なデザインをキャットウォーク上で披露したからだ。

上の写真(ロイター提供)でモデルが着ているのはその一例だ。ごらんのようにシースルーの衣装をすかして、女性の裸体がありありと見える。この女性は裸の肉体の上に透明な衣装を纏っているだけで、下着もつけていない。そのかわり乳首と下腹の部分に不透明な素材が貼り付けられている。

これがファッションといえるのかどうか、筆者のような野暮な人間にはなんともいいようがない。少なくともこんな姿の女性と町の中ですれ違ったら、それこそびっくりするばかりだろう。

女性が人前で裸体をさらすことは、20世紀前半まではどの文化にあってもタブーだった。そのような行為は男にとっては、性交にまつわる仮想的な喜びをストレートに連想させるものであるがゆえに、この上もなくエロティックでかついかがわしいものだと受け取られてきたからだ。

いまでは女性の裸体はそんなに大きな違和感を持たれることはない。だがいくら社会が女性の裸体に寛容あるいは鈍感になったといっても、全裸で公道を歩くことまで許容する文化はまだ存在しない。

このモデルが着ている衣装は、究極のシースルーだ。服を着ているといっても、人の目には全裸として映る。

衣装には身体を隠すという機能と、身体を見せるという機能の両面がある。このことからどこを覆い隠し、どこを露出させるか、その組み合わせによってさまざまな視覚的・官能的イメージが形成されうる。Pam Hoggは、シースルーを究極まで突き詰めることで、衣装が持つ身体を見せる機能をマクシマムに発揮させようとしているのだろう。





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このページは、が2010年2月27日 17:53に書いたブログ記事です。

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