杜甫の五言律詩「不見」(壺齋散人注)
不見李生久 李生を見ざること久し
佯狂真可哀 佯狂 真に哀れむべし
世人皆欲殺 世人皆殺さんと欲す
吾意独憐才 吾が意 独り才を憐れむ
敏捷詩千首 敏捷 詩千首
飄零酒一杯 飄零 酒一杯
匡山読書処 匡山は書を読みしところ
頭白好帰来 頭白好し帰り来たれ
李白先生と久しくあっていない、先生の佯狂ぶりはまことにすばらしかった、そのために世の中の人から憎まれ殺されようとしているが、わたしはその才能を惜しんで已まないのだ
敏捷にして詩を書くこと千首、飄零ぶりを一杯の酒に寄せる、匡山はふたりで書を読んだところですね、ともに白髪頭になってしまったが、是非もう一度わたしのところへ戻ってきて欲しい
夢の中で李白と相見た杜甫は、この詩のなかで是非現実に会いたいと願う。ともに過ごした青春の日々は遠く去り、二人とも老いてしまった。お互い生きている間に、再び会うことがかなうだろうか、杜甫のあせりは強い。
関連サイト: 杜甫:漢詩の注釈と解説
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