アイスランド南部の氷河地帯にある火山エイヤフィアトラヨークトル Eyjafjallajokul が3月に続いて4月14日にも大規模な噴火を起こし(上の写真:AP提供)、吹き上げられた火山灰が偏西風に乗って流れ、イギリスからドイツ、ポーランドそして北欧一帯の空を覆い尽くした。
そのためヒースロー、シャルルドゴール、フランクフルト、スキポールの四大空港を初め多くの空港が閉鎖に追い込まれ、4月16日には16000便が欠航したと見られる。日本の航空会社も影響を受け、ヨーロッパを結ぶ22便が欠航。影響は17日にも及んだ。
折からポーランドでは、先日の飛行機事故で死んだカチンスキー大統領の葬儀が、クラカウで実施されることになっていたが、肝心の大統領の遺体を載せた飛行機が飛べないなど、深刻な影響が出ているという。
空の便が麻痺したために、旅行客は鉄道や船の便に流れているというが、思いもかけぬ自然の猛威を前にただ茫然とするばかりだ。
エイヤフィアトラヨークトルは過去にも何回か大爆発を起こした記録がある。もっとも最近のものは1820年代初期に起きたものだ。だから今回の爆発は実に2世紀ぶりの出来事である。
エイヤフィアトラヨークトルの地底には活発なマグマだまりがあり、それが周期的に活発化して大爆発を引き起こすと考えられている。また近くにはカトラ火山があって、これはエイヤフィアトラヨークトルよりはるかに多くのエネルギーを持っているとされるが、両者の間には何かしらの連動があるようなので、もしかしたら今回よりはるかに大規模な爆発が引き続き起こる可能性も心配されている。
火山灰の影響は航空機の運行ばかりではとどまらないと見られている。地球の気象にも何らかの影響を及ぼすことが懸念される。
1991年の6月におきたフィリピンのピナトゥボ火山の大爆発は、オゾン層を大規模に破壊したほか、地球の気温を0.5度℃引き下げる効果をもたらした。
今回の爆発はそのときほどは大きくはないが、それでも火山灰は上空11キロに達しており、今後も広く拡散すると予想されるので、大気圏に少なからず悪影響をもたらすことは避けられないと見られる。
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