16歳の少女 Jessica Watson がヨットで世界一周

その少女の名はジェシカ・ワトソン Jessica Watson さん。昨年の10月18日にシドニーを出航して以来、東へ航路をとり、南太平洋、大西洋、インド洋を経て、210日ぶりにシドニーのオペラハウス前に帰ってきた。

そのオペラハウスの前には、彼女の歴史的な快挙を祝福しようと、ケヴィン・ラッド首相をはじめ大勢の人がヨットのカラーであるピンクのシャツを着て集まった。

さっそくインタビューを求められたワトソンさんは、新鮮な野菜やお肉料理をたらふく食べ、ゆったりとベッドで眠りたいと答えたそうだ。ヨットの中ではインスタント食品ばかり食べ、猫のように常に警戒しながら仮眠していたのだろう。また狭い空間で暮らしていたために脚力が落ちたので、しっかり歩いてもとのとおりの脚を取り戻したいとも語ったそうだ。

彼女が長さ10メートルのヨットに乗って単身世界周航の旅に出発したときには、世間の風あたりは強かったそうだ。年齢が若すぎるし経験も浅い、ひとりで危険な航海をするのは余りにも無謀だといわれた。だが彼女の両親は、彼女が8歳のときからヨットに挑戦し、十分な技術を身につけていることを理由に、彼女の冒険心を応援してくれた。

とはいってもヨットでの単身の航海はそんなに甘いものではなかったようだ。時には荒れ狂う嵐に見舞われ、大波に飲み込まれそうになったり、転覆しそうになったことも一度ならずあった。だが不屈の精神力と高い技術でこれらの困難を乗り切った。

航海中感動的だったのは、白銀の海の彼方から昇る日を見たときや、流れ星が水平線の彼方に飛び込んでいくさまを見たとき、あるいは鯨たちが群れをなして泳ぐところを見たときだったと、彼女はブログの中で書いている。

ヨットで単身世界一周のこれまでの最年少記録は、1999年にオーストラリア人ジェシー・マーティンさんが18歳で達成したものだ。その後やはりオーストリア人のマイク・ペラムさんが2009年に17歳で挑戦したが、途中トラブルのため救助を求めた。

日本人では堀江謙一さんが1962年にマーメイド号に乗って単身世界一周に成功して以来、その後のヨット人気に火をつけた歴史がある。