客至:杜甫を読む

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杜甫の七言律詩「客至る」(壺齋散人注)

  舍南舍北皆春水  舍南舍北皆春水
  但見群鷗日日來  但見る群鷗の日日に來るを
  花徑不曾緣客掃  花徑曾て客に緣って掃はず
  篷門今始為君開  篷門今始めて君が為に開く
  盤飧市遠無兼味  盤飧市遠くして兼味無く
  樽酒家貧只舊醅  樽酒家貧しくして只舊醅あるのみ
  肯與鄰翁相對飲  肯へて鄰翁と相對して飲まんや
  隔籬呼取盡餘杯  籬を隔てて呼取して餘杯を盡くさしむ

我が家は南北が川に囲まれている、いづこも春の盛りだ、見えるものといえば日々来る鴎の姿、花の散った道は客が来るからといって掃くことはしない、この蓬の門を開くのは君のためだ

市場が遠いので食事も粗末なものしかない、家が貧しいので酒は古いものしかない、別にかしこまって隣の翁と対酌するまでもない、垣根越しに声をかけてその場で飲みあえばいいのだ


客至るというから、わざわざ遠くから来た客を迎えたかといえばそうではない、隣翁と垣根越しに杯をかわしたことを歌ったものだ。草堂でののんびりした生活を、その長閑なさまに焦点をあてて詠んだのだろう。陶淵明の世界に通じるところがある。


関連サイト: 杜甫:漢詩の注釈と解説





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このページは、が2010年5月26日 20:40に書いたブログ記事です。

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