朝鮮戦争が勃発して60周年になるのを記念(?)してか、北朝鮮がアメリカに対して65兆ドルの賠償金を支払うように要求した。この要求は朝鮮中央通信を通じてさらりと言及されただけで、その後北朝鮮当局による真剣なフォローアップは見られないが、なぜ今のこの時期に、北朝鮮がこんなわけのわからぬ要求を持ち出したのか、事情通の間でも議論を呼んでいる。
北朝鮮によれば、この額には朝鮮戦争中にこうむった北朝鮮側の物的・人的被害のほかに、朝鮮戦争の停戦後今日に到るまでアメリカによってなされた反北朝鮮政策に対する賠償要求も含まれているという。
それにしてはその額があまりにも巨額で、荒唐無稽な要求としかいえないというのが大方の受け止め方だ。だいたい北朝鮮のGDPは190億ドル程度だと推計されているから、この賠償金はGDPの3000年分にも相当する。いったい誰がそんな額をリーズナブルな要求として受け入れるだろうか。
こんなわけだから、事情通の中には、もしかしたら金正日は発狂したのではないかとか、あるいはいよいよのっぴきならない飢餓に直面した国民を前にして、一流のパフォーマンスを演じているのではないかなどと、さまざまな憶測をするものもいる。
だが北朝鮮をめぐることがらだけに、笑い話では済まされない部分もある。北朝鮮は先般の韓国軍艦沈没事件を引き起こした犯人として名指されたことに腹を立て、韓国に対して宣戦布告も辞さないと恐喝しているばかりか、場合によってはソウルを火の海にしてやるなどと物騒なことをいっている。
その一方で経済はがたがたの状況で、いまや国民は深刻な飢餓に直面している。先日は金正日自ら中国を訪問して食糧援助などを無心したものの、相変わらずやめようとしない無法行為をとがめられて、援助は思うように進んでいないと見られている。
こんなわけだから北朝鮮チームが折角ワールドカップに出場できる事態に恵まれたのに、国民には応援に行くだけの余裕もないといった有様だ。テレビでは北朝鮮チームを応援する大勢のサポーターが写されていたが、これらは実は北朝鮮に雇われた中国人だという情報が伝わり、金正日は大いに面目をつぶしたところだ。
とにかくに、金正日の北朝鮮はわけのわからぬことばかりだ。北条政権時代の日本も、外交上はずいぶん出鱈目放題なことをやったものだが、金正日の北朝鮮にはおよそ国際感覚というものがないとみえる。
※(上の写真:GAWKER提供)自由市場を視察する金正日
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