絶句漫興九首其四:杜甫を読む

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杜甫の七言絶句「漫興九首其四」(壺齋散人注)

  二月已破三月來  二月已に破れて三月來る
  漸老逢春能幾回  漸く老いて春に逢ふこと能く幾回ぞ
  莫思身外無窮事  思ふ莫かれ身外無窮の事
  且盡生前有限杯  且く盡くせ生前有限の杯

二月が過ぎ去って三月がやってきた、老いた身にはあと何回春が迎えられるか心もとない、身の程知らずのことを考えるのはやめて、飲めるだけ飲んでおくことにしよう


成都にあって迫りくる老いへの思いを歌った絶句九首のうちのひとつ。春を迎える喜びのうちにも、自分は年年に老いていく、あと何回春を迎えられるか、それを思うと今生きている時間がいとおしく感じられる。

自然の悠久さに対比しながら、人間の営みのはかなさを歌ったこの詩は、杜甫晩年の境地を、ある面で代表しているものといえる。


関連サイト: 杜甫:漢詩の注釈と解説





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