杜甫の五言律詩「牛頭山の亭子に登る」(壺齋散人注)
路出雙林外 路は雙林の外に出で
亭窺萬井中 亭は萬井の中を窺ふ
江城孤照日 江城は孤として日に照らされ
山谷遠含風 山谷遠た風を含む
兵革身將老 兵革に身將に老いんとし
關河信不通 關河 信通ぜず
猶殘數行淚 猶ほ殘す數行の淚
忍對百花叢 忍んで對す百花の叢
山道は寺院の彼方までつながり、亭からは市街が見下ろされる、川沿いの城はぽつんとたたずんで日の光を受け、山谷には風が吹き通う
兵乱のなかで老いていく自分だが、関河を隔てた親戚とは手紙のやりとりもできぬ、ひからびたこの身にも流す涙が残っていた、百花咲き誇る草むらを見るに忍びないのだ
牛頭山は梓州の西南にある山。その山上の東屋に登ったときのことを歌ったもの。広徳元年梓州にあっての作。
関連サイト: 杜甫:漢詩の注釈と解説
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