この日（日本時間六月二十五日）未明に行われたサッカー・ワールドカップ一次リーグ最終戦でデンマークと対戦した日本は、3－1で勝利を収め、決勝トーナメント進出を決めた。夜明け前の三時過ぎに目を覚ましてテレビ観戦していた筆者にとっては、眠気を吹き飛ばしてくれる勝利だった。
試合は予想通り高度な守備戦となった。そんな中で最初に均衡を破ったのは日本、前半17分に、本田選手がフリーキックを決めてまず一点をとった。ついで30分には遠藤選手がやはりフリーキックを決めて追加点をあげた。
後半に入るとデンマークは猛攻を仕掛け、たびたびゴールを襲ってきたが、日本は堅い守備でこれを防いだ。唯一デンマークに得点を許したのは、ぺナルティ・キックによるものだった。
これからわかるとおり、この試合はいかに守備が大事かということをわからせてくれるものだった。日本は試合全体を通じてボールの支配率やシュート数で劣ったが、堅い守りで危機を乗り切り、数少ないチャンスをものにすることを通じて勝利をもぎ取った。
そんな日本にとって特筆すべきなのは、三点目の取り方だ。ゴール前の攻防をしのぎながら、本田選手が繰り出したパスを岡崎選手が冷静に処理してシュートを決めたのだ。（上の写真：ロイター提供）頭脳プレーの見本といえるようなシーンだった。
この日の試合は日本にとって、アウェーの大会ではじめての決勝進出につながっただけでなく、今後の日本サッカーのあり方を暗示するものになったといってよいのではないか。
日本は傑出した個人の能力によって得点できるようなチームではないし、今後もそうであり続けるだろう。そんな日本にとって身の丈にあったサッカーとは、集団の力を最大限に発揮させるようなサッカーだろう。緊密な連係プレーによって鉄壁の守備を固めながら、試合の流れの中で生まれた数少ないチャンスを生かして得点に結びつける。こうした頭脳的なサッカーこそ今後の日本のサッカーが目指すべき道だろう。
この日の試合は、日本のサッカーにとっての理想的な形を示していたといってよい。
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