湖の小島イニスフリー The Lake Isle Of Innisfree:イェイツの詩

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ウィリアム・B・イェイツの詩集「薔薇」から「イニスフリーの湖の小島」The Lake Isle Of Innisfree

  いまこそ腰を上げてイニスフリーへ行こう
  そこに粘土と漆喰で小さな小屋を建て
  畑に豆を九列に植え ミツバチの巣箱を据えて
  蜂といっしょにのんびり暮らそう

  そこなら心穏やかに暮らせるだろう
  朝日とともにこおろぎが鳴きだし
  夜は星明りを 昼間は日の光を浴びて
  黄昏にはひわの群がやってくるだろう

  いまこそ腰を上げよう 湖の快い波の音が
  わたしを呼んでいるのが聞こえてくるから
  道を歩いていても 街中でたたずんでいても
  その音が心の底から響いてくるから


イェイツは1892年に二番目の詩集「カスリーン侯爵夫人」The Countess Kathleen and Various Legends and Lyrics を出版した。表題の戯曲のほか20数編の詩を含んでおり、それらは後に「薔薇」という表題のもとにまとめられた。

この詩集に含まれる詩には、イェイツの代表作といえるものが多い。「湖の小島イニスフリー」もそのひとつである。

イニスフリーはスライゴの近くにある湖ロッチ・ガイルに浮かぶ小島。イェイツは少年時代にこの島をたびたび訪れた。その際にソローの小説ウォーデンで描かれた世界とこの島の静かな自然が良く似ていることに感銘を受けたという。

この詩はそんな少年時を回想しながら、自然への憧れを歌ったものだといえる。


The Lake Isle Of Innisfree

  I WILL arise and go now, and go to Innisfree,
  And a small cabin build there, of clay and wattles made:
  Nine bean-rows will I have there, a hive for the honey-bee,
  And live alone in the bee-loud glade.

  And I shall have some peace there, for peace comes dropping slow,
  Dropping from the veils of the mourning to where the cricket sings;
  There midnight's all a glimmer, and noon a purple glow,
  And evening full of the linnet's wings.

  I will arise and go now, for always night and day
  I hear lake water lapping with low sounds by the shore;
  While I stand on the roadway, or on the pavements grey,
  I hear it in the deep heart's core.


関連サイト:英詩と英文学





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