杜甫の五言律詩「錦水の居止を懐ふ二首其二」(壺齋散人注)
萬里橋西宅 萬里橋西の宅
百花潭北莊 百花潭北の莊
層軒皆面水 層軒皆水に面し
老樹飽經霜 老樹飽くまで霜を經る
雪嶺界天白 雪嶺天に界して白く
錦城曛日黃 錦城曛日黃なり
惜哉形勝地 惜しい哉形勝の地
回首一茫茫 首を回らせば一に茫茫たり
萬里橋の西にある宅、百花潭の北にある荘、重なりあった軒は皆水に面し、老樹は長い寿命を経てきた
雪嶺の頂は天との境となって白く輝き、錦官城は風塵をあびて黄ばんでいる。惜しいかな(成都は)景勝の地であったが、その方向へと首をまわせば、すべては茫々としてはるか彼方に去ってしまった
永泰元年(765)秋、長江を下っていた杜甫は雲安で病を得てしばらく滞在することとした。病とは喘息や神経痛だったらしい。杜甫は秋から冬にかけてこの地に療養し、翌年の春まで雲安にあった。
この詩は雲安にあって、成都の草堂を回想したもの。
関連サイト: 杜甫:漢詩の注釈と解説
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