杜甫の七言絶句「秋興其二」(壺齋散人注)
夔府孤城落日斜 夔府の孤城落日斜めなり
每依北斗望京華 每(つね)に北斗に依りて京華を望む
聽猿實下三聲淚 猿を聽いて實に下す三聲の淚
奉使虛隨八月查 使を奉じて虛しく隨ふ八月の槎
畫省香爐違伏枕 畫省の香爐違ひて枕に伏し
山樓粉蝶隱悲笳 山樓の粉蝶悲笳に隱る
請看石上藤蘿月 請ふ看よ石上藤蘿の月
已映洲前蘆荻花 已に映ず洲前蘆荻の花
夔州府の孤城に日が斜めに落ちるたび、自分は北斗を頼りに都の方角を眺めてきた、猿の悲しげな声を聞いては三声の涙を流し、使命を奉じて虚しく筏を調えてきた
かつては役所勤めをした身も今は枕に伏し、山樓には日が暮れて悲しい笳声が聞こえている、石上には藤蘿のような月がかかり、白州の蘆荻の花を照らしている
旅先にあって今昔の移り変わりを慨嘆したもの、猿の声は、旅人に悲しく訴えかけるものとされていた
関連サイト: 杜甫:漢詩の注釈と解説
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