歌の力 The Power of Song:ユーリー・シェヴチュクのプーチン批判

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上の写真(AFP提供)は、この夏モスクワのプーシキン広場で催されたロック・コンサートの一齣、歌っているのは有名な歌手で、かつ民主主義の活動家として知られるユーリー・シェヴチェクだ。シェヴチュクはペレストロイカの時代以来、ロシアに本物の民主不義が根付くように、歌を通じて訴えてきた。ロシアにおける民主主義のシンボルのような人物だ。

そのシェヴチュクが最近、プーチンへの批判を強めている。先日はテレビ番組の中でプーチンと対決し、プーチンの時代になって確かに国民の胃袋は満たされたかもしれぬが、民主主義は後退したと、公然と言い放った。

プーチンはいつもの通り、せせら笑って聞いていたようだが、そのプーチンに対してシェヴチュクは、今のロシアには自由も権利もない、封建主義の時代と何ら変わったところがないと、あらためて批判した。

シュエヴチュクは、国民へアピールするには、言論よりも歌のほうが、力があることをよく知っている。そこで最近はこの写真のように、モスクワのあちこちで、自然発生的なコンサートを催しては、プーチン政権を批判するようになった。彼のような危険な人間に、会場を貸してくれるようなものが、今のロシアにはいないからだ。

政権批判に対しては、力づくの弾圧で答えるのが最近のプーチン政権のやり方だが、シェヴチュクは国民の人気が高く、外国人にもよく知られているので、あからさまな弾圧もできない。それでもこの日のコンサートの場合には、広場周辺に大勢の警察官を投入し、厳重な警戒を敷いたそうだ。

最近、再度大統領になる野心を披露したプーチンのことだ。シェヴチュクのような人間は、そんな自分の政治的な野心の前に立ちはだかる、なんとも名状しがたいいやな存在だと、プーチンは感じたことだろう。


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