杜甫の七言律詩「詠懐其二」(壺齋散人注)
搖落深知宋玉悲 搖落深く知る宋玉の悲しみ
風流儒雅亦吾師 風流儒雅亦吾が師なり
悵望千秋一灑淚 千秋を悵望して一に淚を灑ぎ
蕭條異代不同時 蕭條異代時を同じくせず
江山故宅空文藻 江山の故宅空しく文藻
雲雨荒台豈夢思 雲雨荒台豈に夢思せんや
最是楚宮俱泯滅 最も是れ楚宮俱に泯滅せり
舟人指點到今疑 舟人指點して今に到りて疑ふ
搖落してかの宋玉の悲しみがよく分った、その風流儒雅ぶりはわが師とすべきものだ、彼我千年の時代の隔たりを思って涙をそそぎ、時代を同じくできなかったことを悲しむのだ
宋玉の住んでいた江山の故宅も虚しくなり文名だけが残った、雲雨荒台のさまを夢想だにできただろうか、もっとも滅びたのは宋玉だけではない、楚王の宮殿も今はなくなって、船人もその所在がわからぬほどだ
宋玉は秋を悲しんだ人物として特別の地位を占める、その宋玉の悲しみにかりて、己の悲しみを述べた
関連サイト: 杜甫:漢詩の注釈と解説
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