杜甫の七言絶句「詠懐其三」(壺齋散人注)
群山萬壑赴荊門 群山萬壑荊門に赴く
生長明妃尚有村 明妃を生長す村有り
一去紫台連朔漠 一たび紫台を去って朔漠に連なり
獨留青塚向黃昏 獨り青塚を留めて黃昏に向ふ
畫圖省識春風面 畫圖省識す春風の面
環佩空歸月夜魂 環佩空しく歸る月夜の魂
千載琵琶作胡語 千載琵琶胡語を作す
分明怨恨曲中論 怨恨を分明して曲中に論ず
群山萬壑が荊門に連なっている、ここに王昭君が育ったという村がある、彼女はひとたび紫台を去って西域へ嫁入りし、いまは黄昏の中に青塚を留めるばかり
画工が彼女の顔をわざと醜く描いたのだ、そのため西域に行く運命となって魂だけが帰ってきた、その後千年もの間琵琶は胡の言葉で彼女のことを語り、その恨みをつぶさに歌っているのだ
王昭君の生まれた村について述べる、後出の負薪行と同じテーマを歌ったものといえる。
関連サイト: 杜甫:漢詩の注釈と解説
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