日本の為替介入は効を奏するか

| コメント(0) | トラックバック(0)

100912.noda.jiji.jpg

野田財務大臣(上の写真:時事通信提供)が日銀の協力をえて大規模な為替介入に踏み込んだ。東京、ロンドン、ニューヨークのそれぞれの市場で、一兆円規模の円売りを行ったおかげで、円相場は85円台まで下落した。菅総理が再選されたと伝わったときには82円台に突入したことを思えば、一定の効果はあったといえる。

今回の介入は日本のみによる単独介入だ。為替介入は多国間の協調介入でなければ効果が薄いというのが常識なのに、財務省があえて単独介入に踏み込んだ背景には、日本経済の深刻な事情がある。円相場のこれ以上の上昇はもちろん、現在の水準がこのまま続いたとしても、経済全体にとって壊滅的な打撃になる。そこでなりふり構わず介入に走ったのだろうというのが、世界中のエコノミストによる、厳しい見方だ。

それに政治的な事情も絡んでいる。今回の民主党代表戦をめぐって、事情通の間では、小沢が勝てば円は下落し、菅が勝てば上昇するだろうといわれていた。菅の経済無策を皮肉った見方だ。実際、菅が勝ったと伝わったときには、円はいっそう上昇したわけだから、この見方にも一定の根拠があったということができる。

こんなわけで、このまま放置しておけば、経済的にも政治的にも日本の政権は大打撃を被る、こんな不安が今回の措置に走らせたと、いえなくもない。

今回の日本の措置については、各国のエコノミストの評価は厳しい。グリーンスパン前米連邦準備制度理事長は、短期的にも長期的にもほとんど効果がないだろうといっているし、米議会は日本政府による無益な行動に当惑を覚えていると伝えられた。


関連記事:
人民元切り上げはどこまで進むか
FX取引で大損する人たち
止まらないデフレ・スパイラル:価格競争の消耗戦





≪ 消えた高齢者:無縁社会の闇 | 日本の政治と社会 | 検察官の犯罪:証拠の改ざん ≫

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://blog.hix05.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/2564

コメントする



アーカイブ

Powered by Movable Type 4.24-ja

本日
昨日

この記事について

このページは、が2010年9月16日 19:26に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「詠懐其三:杜甫を読む」です。

次のブログ記事は「レディー・ガガ Lady Gaga:牛肉ドレスはセクシーか」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。