シャルトルの大伽藍:パリ紀行その十一

| コメント(0) | トラックバック(0)

十月六日(水)半陰半晴。この日はパリ郊外のシャルトル、ヴェルサイユに遊ばんとす。シャルトルはフランス有数の大伽藍があるところ、ヴェルサイユはいふまでもなくブルボン王朝の大宮殿跡があるところなり。いづれも世界遺産に指定せられてあり。

これらの地はパリ郊外といへるところにあり。パリより列車に乗りて数十分乃至一時間ほどの距離にあり。軽い気持ちで郊外へ遊ぶには絶好の距離感覚にして、なほも田園の気分を味はうことを得るなり。

八時過ぎホテルを出でて、シャトレにて四号線に乗り換へ、九時近くモンパルナス駅に至る。途中四号線の車内ガラス窓に落書せられてあり。

モンパルナス駅はパリ市内拠点駅の一にて、南西部の諸都市に向かふグランド・リーニュの路線集中す。余らはそこよりシャルトル行きの列車に乗らんとす。

切符の買方わからねばインフォメーションに尋ね、また切符を手にしたる後は列車の乗り方を駅員に尋ぬ。日本の駅と異なり、発車十分前に、ブラックボード上に発着すべきプラットホーム表示せらるる由なり。改札はなし、ホーム上の機械に手づから切符を差し込んで入挟し、そのまま列車に乗り込むなり。

余らは二等車に乗り込みたり。車両は二階建にて、広告物の類は見当たらず、出入り口近くの電光掲示板に行先表示せられてあり、曰く、Ce train est a destination de Chartre. Il desservira Versaille Chantier, Rambouillet、Gazeran, Epernon, Maintenon, St Piat, Jouy, La Villette St Prest.

モンパルナスを発ちて後、列車は概ね低層の街並を走り、光景はやがて住宅主体の街並に変りぬ。最初の停車駅たるヴェルサイユまではわづか十数分の距離なれど、その手前より、畑の混ざる長閑なる風景現われ、ヴェルサイユを過ぎるや一面の畑広がるやうになりぬ。その後は、畑と集落こもごも現れたり。また、エペルノンにては糸杉の林を見たり。東京の外郭部とは全く異なれるを感ず。

午前十時四十三分、シャルトル駅に到着す。駅前広場の前はなだらかな上り坂にて、その先にシャルトルの大伽藍垣間見えたり。歩みても十分足らずの距離なり。

この伽藍は、十二世紀終末より十三世紀初頭にかけて建てられ、比較的短期間に完成すといふ。アミアン、ランスの伽藍と並んで、フランス中世のゴシック建築を代表する建物なり。空に突き刺さらんとするかのごとき尖塔が、最大のポイントなり。石の肌は古びて、いかにも時代を感ぜしむ。

ここにて記念の写真を撮影せんとするに、カメラに不具合出来す。始めは電池の消耗が原因かと思ひしが、さうにてもあらず。SDカードを取替へたるところ、旧に復したり。カードは街中のカメラ店にて買い求めたり。

シャルトルの町は、この伽藍とともに悠久の時間をかひくぐり来れるならん。田園の中にそびゆる伽藍を囲んで、こじんまりとした街並広がり、静かなる雰囲気を醸し出してあり。

大伽藍の傍らなるカフェに入りて昼餉をなし、次の訪問先ヴェルサイユに向かはんとて、パリ行のグランド・リーニュの列車に乗り込みぬ。


関連記事:パリ紀行:その一






≪ リドのショーを見る:パリ紀行その十 | 旅とグルメ | ヴェルサイユ宮殿:パリ紀行その十二 ≫

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://blog.hix05.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/2621

コメントする



アーカイブ

Powered by Movable Type 4.24-ja

本日
昨日

この記事について

このページは、が2010年10月18日 19:01に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「ミスター・ポストマン Please Mr. Postman:カーペンターズの歌」です。

次のブログ記事は「ヴェルサイユ宮殿:パリ紀行その十二」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。