杜甫の五言律詩「十七夜月に對す」(壺齋散人注)
秋月仍圓夜 秋月仍ほ圓き夜
江村獨老身 江村獨り老ゆる身
捲簾還照客 簾を捲けば還た客を照らし
倚杖更隨人 杖に倚れば更に人に隨ふ
光射潛虯動 光は潛虯を射て動かしめ
明翻宿鳥頻 明は宿鳥を翻すこと頻なり
茅齋依橘袖 茅齋橘袖に依る
清切露華新 清切露華新たなり
十七夜の月はまだ丸い、その月を見上げながらひとり老いていく自分を感じる、すだれを巻き上げると光が部屋の中まで入り、杖をついて外を歩けば月光もともについてくる
月の光は明るくして水中の潛虯も動き出し、いったん枝に休んだ鳥たちも翼を羽ばたく、自分のあばら家は橘袖に覆われているので、毎夜夜露にぬれるのがすばらしい
キ州時代の作。中秋8月15日、16日、17日と月夜を立て続けに歌った連作の三作目。
関連サイト: 杜甫:漢詩の注釈と解説
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