ロシア人の二重スパイ、メドヴェージェフを困惑させる

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ロシア人スパイ団10人がアメリカの公安当局に逮捕された上、国外追放された事件について、ロシアの有力紙コメルサントが、ロシア人の二重スパイ、シチェルバーコフの仕業だと報道したのは11日のこと。これに関心を示した西側の報道部隊が、G20に出席していたメドヴェージェフを捕まえて、あれやこれやと質問攻めにした。

メドヴェージェフは、コメルサントの報じた内容が事実かどうか、そして彼自身このことを知っていたのかと問われて、そんなことはとっくに知っていたと答えたそうだ。自分の大統領としての威信にかかわることだから、まさか知らなかったとはいえなかっただろう。

そのうえで、メドヴェージェフは、この二重スパイに強烈な嫌悪感を示して憚らなかった。

なにしろシチェルバーコフは、ロシアの諜報機関の名誉を一夜にして台無しにしたのだ。メドヴェージェフ自身は、KGBに在籍したことはないが、ボスのプーチンはKGBのドンである、そのプーチンが今回の事態については、怒り心頭に発している。いかに大統領とはいえ、プーチンの怒りやKGBの意向を考慮しないわけにはいかない。

だからこのままでは納まらない。メドヴェージェフ自ら、トロツキー暗殺のためにスターリンが派遣した刺客ラモン・メルカデルに言及する始末だったのは、彼がいかに困惑しているかを物語っている証拠だ。

またプーチンはプーチンで、帰国した10人との会談の席で、裏切り者には不幸な最後が待っていると意気込んだ。

そんなわけで、ロシアの公安当局は、メドヴェージェフの命令によって、シチェルバーコフの暗殺部隊を派遣したとの観測もある。

ロシア政府の中枢には、21世紀のいまでも、19世紀的な陰謀の空気が立ち込めているようだ。


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